小児疳の虫(かんのむし)の小児鍼治療
小児の疾患には小児専用の針を用いた小児鍼を行います。ここでいう小児とは生後1ヶ月から小学生ぐらいまでの子供を指します。「小学生ぐらい」と書いたのは、個人差があるので・・・小学生の高学年にもなると、大人と同じような体格の子供も最近は多いということからです。
体格が大人並みで、通常の脈診ができれば大人と同じように治療を行っても差し支えありません、というより大人と同等の治療をする必要があります。
小児鍼ってどんな鍼治療?
小児鍼は、昔から関西でも、特に大阪を中心に子供がすこやかに成長しますようにと「むしばり」、「かんむしのはり」などと呼ばれ親しまれてきた治療法です。
しかし、私もそうでしたが、最近の親御さんは小児鍼をご存知ない方も多いと思いますので、小児鍼がどのようなものか少し説明します。
基本的には皮膚をさする「擦過はり」と「接触はり」を用います。いずれも皮膚に触れたか触れないか判らないくらいの軽い刺激です。当然、皮下には刺しません。治療に要する時間も5~10分前後です。
小児疳の虫(かんのむし)の概要
一般に「かんむし」というのは、特に乳幼児期に多い、精神的ストレスの事を言います。 キーキー声、物を投げつける、夜中によく泣き叫ぶ、驚いて飛び起きる、食欲不振、下痢、乳吐きなどが症状です。
このような状態を放置したり、過度にしかりすぎると、さらに感情的な障害としてひきつけ・チック症・夜尿症などさまざまな状態に発展してしまう事があります。
小児疳の虫(かんのむし)の症状
以下のような状態の時は「かんむし」が起きていると考えて下さい。小児鍼治療をお勧めします。
- 1、顔色が悪く青白い。
- 2、眉間や鼻根の上に青すじ(静脈の怒張)がみられる。
- 3、食欲が平素より落ちて、ぐったりしている。
- 4、髪の毛が逆立っている。
- 5、おへその周りが赤くなる。
- 6、表情に明るさがなく、原気がない。
「かんむし」以外に小児・学童に効果のある症状は以下の通りです。
肩こり、頭痛、腹痛、虚弱、肥満、仮性近視、集中力低下、夜尿症、チック症、円形脱毛症、小児喘息、湿疹、かゆみなど
東洋医学における小児疾患
小児も大人と同様に熱証体質と寒証体質があります。熱証体質は陽気が旺盛で活動的で食欲があります。寒証体質の小児はおとなしく、原気がなく、食欲も少なく、また母親にくっついて離れないというような特徴があります。
熱証体質の小児が病気をした場合は症状は激しく出ますが、治りやすいです。寒証体質の小児には優しい治療が必要です。過剰刺激になると後で発熱する事があります。
和み堂の小児疾患の治療法
夜泣き、イライラ、キィキィ叫ぶ、眼の結膜が青い、眉間に静脈、髪が逆立つ、眼を開けて寝る、チック賞、喘息などがある場合は胆経、肝経、側頭部の皮膚鍼。身柱に治療を行います。
食欲旺盛、異物を食べる、偏食、腹痛、小食、下痢、便秘、元気がない発育が悪い、鼻出血、中耳炎などがある場合は心包経、脾経の皮膚鍼を行います。
産毛が多い、発熱しやすい、せき、中耳炎、鼻淵、扁桃炎などがある場合は太淵、承泣の治療。熱がある時は三間、金門に治療。せきがある時は人迎に治療を行います。
肥満、疲れやすい、夜尿症、怖がりなどがある場合は中極、関元、尺沢に治療を行います。
注意事項
インフルエンザ、麻疹、風疹、猩紅熱、扁桃炎などの急性熱病は悪化すると肺炎に移行する事があるので注意が必要です。
発熱している場合でも鍼灸治療を行っても差し支えありませんが、前述のような急性熱病の場合は小児科での処置が必要です。小児科で解熱剤等の投与を受けた後の鍼灸治療は症状の回復を促すので、特に問題ありません。
関連書籍
わかりやすい小児鍼の実際 大師流小児鍼―奥義と実践 毎日5分!親子スキンタッチ健康法―赤ちゃんから10歳までの対処法