四診法について
東洋医学の診察では四診法が使用されています。四診とは望(ぼう)・聞(ぶん)・問(もん)・切(せつ)の四つの診察法を指します。
四診法により得られた情報に病因や経絡、臓象や陰陽五行の理論を合わせ正確な診断を行います。
古典書物の難經六十一難には「望んでこれを知る、これを神という。聞いてこれを知る、これを聖という。問うてこれを知る、これを工という。脈を切してこれを知る、これを巧という。」」と記載されており、四診法の技量によって、その治療者の技量を示しています。通常は四診法で得られた情報を総合的に判断し、治療方針を決定していきます。
望 診望診は術者が視覚によって病人の顔色などの色や体型などの形、歩様などの動作を全体的に観察し病状の変化を推察することです。
聞 診聞診は聴覚によって音声を聞き分けるものと、嗅覚によって匂いをかぎ分けるという二面があります。聴覚によるものは病人の声や話し方や咳嗽などを聞き分け、嗅覚によるものは病人宅では病室の匂いや体臭や口臭など分泌物による匂いから病状を推察します。匂いについては糖尿病などや胃腸の具合などで特徴的な匂いを発することがありますが、香水や整髪量や洗剤や柔軟剤等の匂いで判断材料とならないことも多いです。
問 診問診は病人からの訴えを聞き、必要に応じて本人や家族または付き添いの方に病状について詳しく聞くことです。
当院では年齢や性別、現病歴や既往歴など基本事項は問診表に記入していただきます。こちらからの問いかけとしては生活習慣や生活環境、飲食、便通や睡眠の状況など必要に応じてお聞きします。
切 診切診は脈診、腹診や切経など直接、皮膚に触れて病状を診察する方法です。脈診は両手の手関節部の橈骨動脈の拍動を観察することで五臓六腑の状態や病の状態を推察します。腹診は腹部の形や寒熱、圧痛や抵抗の有無から五臓六腑の状態や病状を推察します。切経は経絡や経穴の状態から病状を推察する方法です。